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僕達を理解させるためには、単純な言葉で僕達に話す必要がある。したがって生きる喜びは僕にとって、その香り高く熱い最初の一口の中に、コーヒーとミルクの味がするパンの中に集まっているし、それによって異国風のプランテーションと静かな牧場と収穫物と考えを共にする。それによってすべての大地と考えを共にする。とても多くの星の中で、夜明けの食事のかぐわしい一碗を作り、僕達のところに持ってきてくれる星はひとつしかない。
 だが僕達の船と人の住む陸地との間には越えがたい隔たりが山程あった。世界のすべての富は、星座の間で迷っている、取るに足りない一粒の所にあった。それを見分けようとしている占星術者のネリは星々に絶えず哀願していた。

 彼の握りこぶしが突然、僕の肩を乱暴に押した。その押して知らせた紙切れを、僕は読んだ。「すべて順調だ。すばらしいメッセージを受け取った. . . 」 そして僕は胸をときめかせながら、僕達を救うだろう五、六の単語が書き写し終わるのを待っていた。ついに僕はそれを受け取った。天からの贈り物を。
 それは僕達が昨夜離れたカサブランカの日付が書かれていた。通信が遅れたので、2000キロ離れ、雲と霧の間にいて、海上で迷っていた僕達に、それは突然届いた。そのメッセージはカサブランカ空港の駐在員から出ていたものだ。

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