SSブログ

24


機関士は地図に印をつける。そして、もし山岳の位置が変わっていたり、左に回ろうとした山頂が、秘密の軍事的準備のように彼の正面に展開したら、パイロットはルートを修正する。
 地上で夜勤する無線通信士達に関して言えば、彼らは仲間からの指図を同時に、慎重にノートに記入する。「0時40分、航路230度、機上異常なし」
 今日、搭乗員はそのように飛行する。彼は自分が動いているようには少しも感じない。夜間、海上を飛ぶように、彼はすべての目標からとても遠くにいる。だがエンジンは明るい機内を、その実質を変える軽い沸騰音で満たしている。だが時はめぐる。だが文字盤の中で、真空管ラジオの中で、計器の針の中で、目に見えないすべての錬金術が続けられる。1秒1秒、秘密のしぐさ、押し殺した言葉、その配慮が奇跡を調合する。そしてその時が来たとき、パイロットは、確実に、ガラスに額をつけることができる。無から金が生まれたのだ。それは着陸地の灯火の中で光り輝いている。
 しかしながら、僕たちは飛行のすべてを体験してきた。それは、突然のことだが、個人的な見方で考えると、僕達がインドにいて隔たりを感じなかったかもしれないように、着陸地に2時間の所で僕達は隔たりを感じてしまって、もう戻れないのだという飛行だった。

 たとえば、メルモが最初に水上飛行機で南大西洋を越えたとき、彼は日暮れの頃、赤道無風帯に近づいた。

2325 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。