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 トゥールーズの薄暗い冬空の下、無名のチームの中で混同されている仲間達それぞれは、そういうわけで、同じような朝によって、彼の中に王者が成長しているのを感じてしまっていた。その彼は5時間後に、彼の後ろに北フランスの雨と雪を見捨て、冬を捨てながら、エンジンの回転数を下げ、アリカンテのまばゆいばかりの太陽が輝く、夏の只中に降下し始めていたのだった。

 その古いバスは姿を消したが、その重々しさ、窮屈さは今も僕の記憶の中に残っている。そのバスは僕らの職業のどぎつい喜びを得るために必要な準備をよく象徴していた。身にしみる節制のすべてがそこでは必要としていた。霧の昼か夜に永遠の引退となった100人の路線便の一人である、パイロットのレクリヴァンの死を、10語も交わされない会話によって、僕は3年後そこで知ったことを思い出す。
 そのような朝の3時に、同じ沈黙が支配していた。そのとき僕達は陰で見えない支配人が視察官に声をあげるのを聞いた。
 「レクリヴァンが昨夜、カサブランカに着陸していなかった」
 「え!」 視察官が返事をした。「で?」
 そして夢の途中から引き離された彼は、目を覚まそうと、熱意を示そうと、努力した。彼はつけ加えた。

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